ゆうのうつ病絵日記

うつ病になってしまった、40歳のおじさんの悪戦苦闘の日記です。

うつ病患者の幸福論2

こんにちは、ゆうです。

前回の「うつ病患者の幸福論1」で、なぜ幸福論が必要なのかを紹介しました。

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今回からは、幸福論に関する書籍を、うつ病患者の視点から読んでいこうと思います。

今回は「幸せのメカニズム 実践・幸福学入門 前野隆司著」を紹介したいと思います。

 

 

★書籍概要

1.この書籍の目的

幸せになるための、人間の心のメカニズム全体を明らかにし、それを伝えたい。 

 

2.世界での幸福研究の現状と限界

世界の調査研究によると、幸福に関連する要因はたくさんあります。

年齢、性別、健康、信仰心、結婚つながりの多様性、目標が明確であること、ボランティア活動していること、目標を達成していることなどです。なお、最も幸福との相関が高いと言われているものは、健康、信仰、結婚です。

一方で年収75,000ドルを超えると幸福との関係が比例しなくなるという研究結果があり、このような「所得などの特定の価値を得ることが必ずしも幸福に直結しないにも関わらず、それらを過大評価してしまう傾向がある」ことをフォーカシング・イリュージョンといいます。

また、幸福には、所得、社会的地位、物的財のように周囲と比較できる地位財と、他人が持っているかどうかと関係なく喜びが得られるもの非地位財があります。

非地位財が幸福が長続きするのに対し、地位財による幸福は長続きしないのにも関わらず、人は幸福の持続性の低い地位財を目指してしまいがちです。

このようなフォーカシングイリュージョンや地位財などといった特性に惑わされず、幸福のメカニズムが、明確で単純な形で描き、全体の俯瞰的理解ができるようになること、そのために幸福のメカニズムの基本モデルを作ることが必要である、というのがこの本の趣旨。

 

3.幸福のメカニズムの基本モデル

87個の質問を、インターネットで1500人にアンケートを行い、その結果の因子分析を行いました。その結果をコンピュータにより、多変量解析を行い、以下の4つの因子に分け、基本モデルを構築しました

 

幸せの四つ葉のクローバーのモデル

(1)「やってみよう!」(自己実現と成長の因子):コンピテンス、社会の要請、個人的成長、自己実現

(2)「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子):人を喜ばせる、愛情、感謝、親切

(3)「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子):楽観性、気持ちの切り替え、積極的な他者関係、自己受容

(4)「あなたらしく!」因子(独立とマイペースの因子):社会的比較志向のなさ、製薬の近くのなさ、自己概念の明確傾向、最大効果の追求。

 

★ゆうの考え方

アンケート結果から、機械的に因子に分け、結果を出すという方法は、客観的で説得力があります。

では、うつ病患者がこの因子それぞれを伸ばしていけるかと言うと、うつ病患者はこの要素の対極におり、それぞれ健康な人とは別のアプローチをとる必要があると感じました。

一方で、対極にいるということは、この因子の大きくマイナス方向にいるということであり、これをゼロへ、そしてプラスへ、という意味では一つの方向を目指し、取り組んでいけば良いと感じた。

まとめると、うつ病患者においてのアプローチを要素に組み入れることで、この「幸せの四葉のクローバー」モデルは、うつ病患者の幸福論の一つになり得るのではないか、と思います。

それでは、その視点から4つの因子を見ていきましょう。

 

(1)「やってみよう!」(自己実現と成長の因子):コンピテンス、社会の要請、個人的成長、自己実現

ゆうの考え方:

うつ病の状態は、まさに自己実現や成長とは対極の位置にあり、「やってみよう!」からは最も遠い状態です。自己否定と停滞です。ただ、真逆であるからこそ、方向性は同じくするとも言えます。

僕の意見としては、うつ病が治る前までは、自己実現と成長のハードルを大きく下げると良いと思います。つまり停滞期であれば「シャワーを浴びれた」、「散歩に行けた」など、小さくは見えますが、うつ病者にとっては非常に大きな一歩であり、自己実現と成長です。これらは健康な人にとって「仕事のノルマを確実にこなせた」、「富士山を登頂した」並のことであり、それは誇張ではありません。

もう少し回復すれば、もう少しハードルを上げるなど、これをうつ病期のステージに応じて、自己実現と成長を設定すれば良いと思います。

そして、人は健康な時と同じ感覚で考えてしまいますが、それらの「高い」目標は、治った時の自分に仮託し、「治った時に、やってみよう!」とすれば良いのです。

こうすることで、うつ病期から将来に渡っての自己実現と成長のビジョンを描くことができるのではないかと考えます。

 

(2)「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子):人を喜ばせる、愛情、感謝、親切

ゆうの考え方:

自分が完全に疲弊しているとき、人を喜ばせたり、感謝したり、というのはそもそも難しい。気力的にも、体力的にもです。

また、逆につながりによって傷つけられ、うつ病の原因となったケースもあるでしょう。

その場合、対人関係療法が処方箋となり得るでしょう。

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家族などがそうであれば、自分の相手への期待を変える、言いたいことを手紙にまとめるなどコミュニケーションを変える、それでも駄目なら離別を考える、といったことです。

あるいは、職場の人間などであれば、一時的な相手であるとして、期待を一切しないということもあると思います。

このように、何でもつながりを大事にする、感謝するというより、マイナスの関係をゼロに近づける、ということも合わせて行い、好きな人とはゼロをプラスへ持っていくのが良いと思います。

 

(3)「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子):楽観性、気持ちの切り替え、積極的な他者関係、自己受容

ゆうの考え方:

先日紹介した、うつ病に良くない考え方、認知の歪みの中でも、「マイナス化思考」など、ネガティブでくよくよと考えてしまうため、これからも最も遠いと思われます。

どの因子もそうですが、マイナスからプラスへ一足飛びは難しく、健康な人にとっても楽観性を持つことは難しいです。

先日の記事で書いたように、認知行動療法により、認知の歪みを意識し、それを少しずつ矯正していくことが一番の近道だと思います。

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一方で、悲観的な性格も、不幸にならないために有効な部分もあります。例えば、地震や事件、事故への備えは、悲観的な性格の方が準備が整うと思われます。

このような考えもあるため、あまり意識的にならず、のんびり考えた方が良いと思います。

 

(4)「あなたらしく!」因子(独立とマイペースの因子):社会的比較志向のなさ、制約の知覚のなさ、自己概念の明確傾向、最大効果の追求。

ゆうの考え方:

他人と比較せず、独立してマイペースであること、これは僕の場合、うつ症状としての焦り、承認欲求の高さから、かなり難しい因子です。

アドラー心理学でも、承認欲求は悪であるとしていますが、実際に社会的には承認欲求を煽られていることから、これから自由になることは難しいです。

自分らしくあること、それには地位や肩書でない、自分そのものが好きであること、つまり自己肯定感が高い必要がありますが、うつ病では自己肯定感は当然低くなります。

この処方箋としては、うつの原因、たとえば職場など、と全く違う趣味やコミュニティを持つことが良いと思います。

もちろん、急性期はなにもできませんが、回復期に入ると、私は絵を趣味にし、少しずつですが仕事人して挫折した自分から自由になっていきました。

このように、競争とは関係ない世界で、自分を持ち、そんな自分を好きになっていくこと、それが「あなたらしく!」につながっていくと考えます。

 

★さいごに

最後までご覧いただき、ありがとうございました。この書籍では、若干の読み替えは必要なものの、大きな方向性としては非常に参考になるものでした。

今後も、幸福に関する書籍を、うつ病患者の視点から紹介していこうと思いますので、よろしくお願いします!